呼と循ゼミナール
Bioprosthesisによる心臓弁置換(4)—大動脈弁置換術の臨床
前田 肇
1
,
堀 原一
1
1筑波大学臨床医学系外科
pp.892
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203110
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人工弁置換術の予後を論ずるにはmortalityよりもmorbidityに関して論ずるべきであり,この点からすれば置換弁の種類をとわず大動脈弁置換(AVR)の方が僧帽弁置換(MVR)より良好であることはほぼ一定した意見となっている。近年AVRに関してはhomograftとmechanical valveとの比較においてもhomograftの方が良いという意見もみられる。bioprosthesisは従来のhomograftよりは耐久性に優れているのも事実である。
著者らは抗凝固剤投与を術後2カ月で完全に中止しているが,bioprosthesisを用いたAVRに血栓形成をみていない。また細菌性心内膜炎患者にAVRを行ない,術後6カ月後に再発をみたが,抗生物質投与のみで弁機能を損なうことなく心内膜炎は治癒して良好な結果を得た。Zuhdiの報告をみてもAVRで弁尖の破壊はみられておらず,塞栓もわずか1.4%にすぎずmechanical valveの約25%と較べてきわめて少ない。
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