呼と循ゼミナール
Bioprosthesisによる心臓弁置換(3)—房室弁置換術の臨床
前田 肇
1
,
堀 原一
1
1筑波大学臨床医学系外科
pp.780
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203096
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bioprosthesisを用いた房室弁置換術後の血行動態1)をみると,肺動脈楔入圧,肺動脈圧,左心室拡張末期圧および心拍出量に関する改善はmechanical valveと有意差が認められない。現存の人工弁を使用する限り,これらの値は主として術前の心筋,肺の障害度に左右されるからである。しかし,拡張期平均圧較差は0〜7mmHg以内にあり,平均3.5mmHgにすぎなかった。圧較差1mmHg以下を示す正常圧較差が7例も存在したが,このように圧較差の少ないmechanical valveはBjork Shiley弁以外にはみられない。圧較差はbioprosthesisの大きさや種類によって差が認められない(図)。前項で述べた程度のグルタールアルデヒドの濃度差による弁尖の硬度の違いは,血行動態を変えるほどのものではない。運動負荷によって血流量増加に対する弁抵抗の増大をみたが,心拍出量の増加にもかかわらず,圧較差の増加はほとんどなく,血流増加に対してbioprosthesisの弁尖はきわめて良好な順応性を示した。Gorlinの式から弁口面積を算出すると平均3.28cm2であり,諸家の報告中最も広い。しかし,いずれの弁口面積も支持輪の面積よりも狭く,約60%であった。
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