Japanese
English
講座
脚気心—最近の自験例検討を中心に
Beriberi Heart Disease
若林 章
1
,
松村 忠史
1
,
廣瀬 邦彦
1
,
河合 忠一
1
Akira Wakabayashi
1
,
Tadashi Matsumura
1
,
Kunihiko Hirose
1
,
Chuichi Kawai
1
1京都大学医学部第3内科
13rd Div., Dept. of Intern. Med., Faculty of Med., Kyoto University
pp.781-790
発行日 1977年9月15日
Published Date 1977/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203097
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
この2,3年,若年男子を中心に一連の心拡大患者に遭遇するようになった1)。浮腫を主訴とするが安静により速やかに消失し,心胸比も縮小する。非特異性心筋炎をまず疑った。それにしては心電図変化に乏しく,炎症所見を欠くものも多い。若年男子に好発するのも奇妙である。心拍出量も増加しており,心筋炎による心不全状態に矛盾する。
これより少し前,大谷ら2)は「心筋炎の合併が考えられる急性特発性多発性神経炎」の1例を発表,その後九州3〜6),山陰7〜9),中国10),四国11),東京12)など各地から類似症例の報告があいついだ。これらの症例はいずれも多発性神経炎像を主体としたため,神経学者を中心に検討された。その結果thiamine欠乏に基因する可能性の強いことが明らかとなり,既に過去の疾病と考えられていた脚気が再び登場するに至った。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.