Japanese
English
特集 心臓の収縮と拡張
心収縮時相分析の有用性と限界
The usefulness and limitation of systolic time interval analysis
杉本 恒明
1
,
稲坂 暢
1
,
絈野 謙介
1
,
浦岡 忠夫
1
,
佐藤 清
1
,
紺谷 一浩
1
,
長田 清明
1
,
池田 孝之
1
Tsuneaki Sugimoto
1
,
Tohru Inasaka
1
,
Kensuke Kaseno
1
,
Tadao Uraoka
1
,
Kiyoshi Sato
1
,
Kazuhiro Kontani
1
,
Seimei Osada
1
,
Takayuki Ikeda
1
1金沢大学第1内科
1The First Department of Internal Medicine, School of Medicine, University of Kanazawa
pp.323-328
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202891
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左室収縮時相分析,すなわち左室収縮時間(systolictime interval, STI)の測定と分析をわが国ではじめて試みたのは斎藤十六ら(1958)であり,すでにその当時運動負荷試験も含む広汎な臨床応用の研究が行なわれている。しかしこれが一般的に行なわれるようになったのはWeisslerら(1968)以後といってよく,STIと臨床的な心不全の重症度・心拍出量・駆出分画さらにはVmaxなどの心筋収縮性の指標とよい相関をもつことが示されてからは,STI分析は簡便・非観血的という以上に敏感な心機能の指標として有用であるといわれるまでになった。
しかし,STIが心筋収縮性の指標の一つとよく相関するからといってSTIは心筋収縮性を直接に反映するものであるといいきるわけにはいかない。後に述べるように,STIはさまざまな循環動態の変動に大きく左右されるものであり,臨床例におけるSTIは広い意味での心機能の変化にもとづく循環動態の変化,ないしはそのような循環動態を維持する心臓のいわば作業状態を反映していると考えるべきである。著者はこのような観点から,STIが何を表現するものであるかを知った上でSTIの臨床応用はどのような形で試みられるべきかを考えてきた。
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