呼と循ゼミナール
心収縮時相の評価(6)—左室拡張期時相分析
村松 準
1
1北里大学内科
pp.408
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203049
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非観血的な左室拡張期時相分析法として心尖拍動図が応用され,等容性拡張時間(isovolumic relaxation time; IVRT),および拡張早期の急速充満時間(rapid filling time; RFT)などがとりあげられている。
等容性拡張時間(IVRT)は,心音図における第2心音大動脈成分より心尖拍動図の0点までの時間,急速充満時間(RFT)は,0点より急速充満波(rapid filling wave; RFW)のF点までの時間として測定される。0点は僧帽弁開放と一致するとされているが,Nixonは0点が僧帽弁開放時点より約25msec遅れるとのべ,協研者も,約20msecの遅れを報告している。Prewittら1)によれば,心エコー図およびシネアンジオなどと対比し,心尖拍動図の0点が僧帽弁の初期開放時相にも,最大開放時相にも一致せず,僧帽弁開放よりもつねに遅れて示されたという。0点はむしろ外方壁運動の最大速度時相とより密接に相関し,心室圧曲線の最下点と同時性である。したがって,0点は僧帽弁開放と直接的な関係がなく,急速充満波は左室の急速充満時相を反映しないとのべている。
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