Japanese
English
特集 心臓の収縮と拡張
左室の不均等収縮
Heterogeneous Contraction of Left Ventricle
杉下 靖郎
1
Yasuro Sugishita
1
1筑波大学臨床医学系内科
1Dept. of Med., The Univ. of Tsukuba
pp.313-321
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202889
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かつては,心臓,とくに左室の機能に関する知見は,左室全体として述べられていた。すなわち,左室は均一な構造のものという立場に立って論じられていた。然るに近年,病態によっては左室の部位によって構造,機能,心筋血流量などが異なるという立場に立った研究がなされ始めた。それは第一には,臨床的診断技術の進歩,とくに左室造影法の普及により従来知られなかった知見が得られるようになり,諸種心疾患において局所的変化が発見されるようになったことが大きいであろう。動物実験でも技術的進歩が見られている。第二には,過去20〜30年間に,弁膜症,先天性心疾患などに関する治療法が進歩したのに対して,近年,進歩の遅れていた冠状動脈性心疾患,とくに心筋硬塞の治療に世界的関心を持たれ,その中でもとくに病態の基盤としての心筋硬塞時の血行動態が大きな関心の的となり,その原因としての左室の不均等収縮が話題となって来た。それにつれて他の心疾患についてもそのような考え方が適用されるようになった。
ここでは左室の不均等収縮について,著者の経験を中心として解説すると共に,その意義について述べたいと思う。(不均等収縮は左室以外にもちちろんありうることであるが,従来得られている知見およびその重要性より左室に限って述べる)。
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