呼と循ゼミナール
生理活性物質と肺—(非呼吸性の肺機能I)
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.24
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202852
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1925年StarlingとVerneyは摘出腎の灌流実験を基にして,肺において血液が"detoxication"をうけることを示唆した。その後25年経って,Gaddumらはこの"detoxication"が,肺のセロトニン(5HT)の不活性化であることを明らかにした。その後アセチルコリン,ヒスタミンなどの代謝について注目されたが,肺が各種の生理活性物質の産生,放出ならびに代謝にあずかり,これらの血中レベルを制御する機能をもつこと,その生理学的意義が論ぜられるようになったのは,ここ数年来のことである。
肺の種々の生理活性物質の生合成,放出の機能が,はっきり現われる例は,即時型過敏症におけるアナフイラキシーの場合であろう。すなわち,肺組織中のmast cellからヒスタミンのほかSRS-A,プロスタグランディン(PGs),ブラデイキニン(Bk),カリクレイン,好酸球走化性因子(ECF-A)などが放出される。これらのなかでとくにPGsの活発な生合成,放出の場が肺であることが,最近明らかにされてきた。すなわちPGsは,上記アナフイラキシーのほかに肺組織の機械的刺激,過換気,呼吸性アルカローシス時,あるいは肺塞栓,肺水腫の場合などに放出されることが解って来た。
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