Japanese
English
講座
肺の脂質とその代謝—表面活性物質に関連して
Lipid and its Metabolism in regard to Alveolar Surfactant
吉田 清一
1
,
荒井 達夫
1
Seiichi Yoshida
1
,
Tatsuo Arai
1
1東京大学医学部第3内科学教室
1The 3 rd Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.379-388
発行日 1969年5月15日
Published Date 1969/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202022
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はじめに
肺胞内面に働く表面張力が,換気力学の領域に重要な役割を果たすことは,すでに1929年Von Neergaard1)が指摘したところであるが,最近の肺生理学の進歩の中で再検討されてすでに10数年を数える。著者らが昭和39年の本誌2)に,1961年にClementsが行なった「肺機能に関連した表面現象」と題するBodwitch lectureを紹介した当時は,生理学的研究が主であった。その後,この肺における表面活性物質(alveolar surfactant以下surfactantと略す)の生化学面の解明が進み,その本態はリン脂質で,その主役はdipalmitoyl lecithinであることが一般に認められるようになった。この方面に関して,本邦でも二,三の綜説がみられる3)〜6)。
本稿では,主として脂質代謝の面からみたsurfactantの代謝を中心に,その後明らかにされた生化学的知見を紹介し,研究の現況と,今後の問題点について述べる。
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