Japanese
English
綜説
肺の表面活性剤
Pulmonary Surfactant
沢田 英夫
1
Hideo Sawada
1
1天理よろず相談所病院呼吸器内科
1Tenri Hospital, Internal Medicine, Respiratory Section
pp.264-270
発行日 1969年4月15日
Published Date 1969/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202009
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はじめに
液体に溶けてその溶液から表面に吸着し,表面エネルギーを著しく減じ(表面張力は著しく減少する),その表面活性能によって湿潤,乳化,分散,発泡,可溶化,洗浄,潤滑などの作用を示す物質を表面活性剤という。表面活性剤は天然にも人工的にもきわめて外種多様なものが知られているが,分子構成をみるとすべて共通に二つの部分から成り立っている。油には溶けるが水には溶けない親油性部分と,水には溶けるが油には溶けない親水性部分である。
1929年von Neergaardは初めて肺胞における表面張力の影響に注目した1)。Pattleは肺胞の表面に表面張力を低下させる物質(表面活性剤)がなければならぬことを指摘し,さらに肺浮腫のさい喀出される気泡にこの性質のあることを示した2)。肺の表面活性剤については現在まで多くの論文が発表されているが,この綜説において著者の論ずるところは,
1.肺の表面活性剤と肺胞の安定性
2.肺の表面活性剤の化学的組成
3.肺の表面活性剤の微細構造
4.肺胞における表面活性膜
5.肺の表面活性剤の界面活性学的諸性能である。
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