今日の産婦人科
新生児肺硝子様膜症の基礎—肺硝子様膜症と肺表面活性物質
貝原 学
1
Manabu Kaibara
1
1東京大学産科婦人科学教室
pp.853-859
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204894
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新生児の肺硝子様膜症((Hyaline membrane disease—以後HMDと略す)の発生メカニズムについて,古来より種々の説が報告されてきた。すなわち,肺循環不全説,自律神経失調説,血液凝固障害説,酸素中毒説および表面活性物質欠乏説などであるが(文献1参照),現在ではそのうち,表面活性物質欠乏説が最も有力で,ほぼ確定的である。最近では,羊水内に含有される表面活性物質の量を測定することによつて,HMDの発生をある程度予知しうる段階にまで到達している。
本綜説では,肺の表面活性物質の概要,本物質の胎児肺における合成とHMD発生との関係,ならびに本物質に関連した臨床的事柄につき,最近の知見を述べる。
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