今月の臨床 羊水
羊水の生物学
4.羊水中の肺表面活性物質と肺成熟
高橋 明雄
1
,
千田 勝一
1
1岩手医科大学小児科
pp.1250-1252
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903418
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羊水中の肺表面活性物質測定の意義
壁の厚さが0.2ミクロンしかない新生児の肺胞が呼気時に潰れないでいるのは,その中に肺表面活性物質(肺サーファクタント)が存在するためである.
このサーファクタントはレシチンを主成分とする脂質—蛋白複合体(図1)で,在胎20週ころから肺胞II型上皮細胞で生成されてその中のラメラ封入体に蓄積される.その後肺胞腔へ分泌され,気管を経て羊水中に移行する1).しかし在胎35週ころまでのサーファクタント生成能の発達は個人差が大きいため,これに遅れのある胎児が早産になると,呼吸窮迫症候群(respiratory distresssyndrome:RDS)を発症するリスクが大きい.このため羊水中のサーファクタント測定は,胎児肺成熟度評価法(またはRDS予知法)として脚光を浴び,これまでに種々の方法が報告されている.
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