増刊号 臨床化学実践マニュアル
II.日常検査における異常値への対応
11.ホルモン以外の生理活性物質
ホルモン以外の生理活性物質
須川 秀夫
1
1京都大学医学部臨床検査医学教室
pp.177-183
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901525
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はじめに
生理活性物質は,その名の示すとおり体内に存在し,種々の体内動態を誘導する活性を有する物質である.
この種の物質には,例外なく精巧な生合成系と,代謝分解系が存在し,その両者の引き算の結果として存在する物質量が生体へ作用する.生合成,分解のサイクルは,秒単位のものから,日単位に至るまで種々であるが,短時間のターンオーバーを呈する物質ほど,検体の採取方法,保存方法,取り扱いかたによっては本来の体内濃度とは異なった測定結果となることは,容易に推察できよう.もちろん,薬剤や病態,運動,日内変動,年齢,性差など,測定値の変動をもたらす要因は,他の体内物質と同様である.
生理活性物質の測定は,①バイオアッセイ,②種々の分画法を利用した定量,③特異的抗体を用いたラジオイムノアッセイや酵素抗体法,などに大別される.
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