特集 ホルモンと生理活性物質
総論
2.生理活性物質の生理学
片渕 俊彦
1
,
堀 哲郎
1
Toshihiko KATAFUCHI
1
,
Tetsuro HORI
1
1九州大学医学部生理学第1講座
pp.20-24
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902164
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はじめに
生体内には数多くの生理活性物質が存在し,細胞間の情報伝達に重要な役割を果たしている.すなわち,ペプチドやステロイドなど内分泌腺から放出されるホルモン,神経ペプチド,増殖/成長因子,およびアセチルコリンやアミンなど古典的な神経伝達物質,およびプロスタグランジン類などのアラキドン酸代謝産物などがある.さらに,免疫細胞や最近では神経系でも産生されることが明らかになったサイトカイン,神経系,免疫系および血管系など生体の各所で生理活性が報告されている一酸化窒素なども広い意味で生理活性物質と考えられる.
近年,種々の生理活性物質の作用の細胞内機序が詳しく解析され,これらがいくつかの共通した情報伝達経路をとることや,異なるシグナル伝達路の間にクロストークがあることが示されている.さらに1つの物質が持つ生理作用は単一ではなく,神経,内分泌,あるいは免疫系など,複数の系において作用していることが明らかになった.
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