呼と循ゼミナール
急性心筋硬塞(III)—P波と肺動脈楔入圧との関係について
兼本 成斌
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.363
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202755
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心電図のP波は心房の電気的興奮過程の表現でありいわゆる僧帽性Pは左房の負荷所見として僧帽弁膜疾患,大動脈弁狭窄症,高血圧症,左心不全時によく認められることは周知の通りである。急性心筋硬塞(AMI)においても古くMaster1)は尖鋭な高いP波がI・II・III誘導に一過性に出現することに注目したが,最近になってAMIのP波について幾つかの論文2)〜5)があり著者ら6)も検討したので以下に簡単にのべてみたい。
従来左房性P波としては第II誘導のP波(PII)の幅,高さおよびその形態(notchの有無)とMorrisら7)の提唱したV1誘導のP terminal force (PTF-V1)の異常により診断される。PTF-V1とは2相性P波の後成分の高さ(あるいは深さ:mm)と幅(sec)を乗じたもので当然正のことも負のこともあり,Morrisら7)は正常値を+0.01〜−0.03(平均−0.01) mm・secとした。
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