呼と循ゼミナール
産褥性心筋症か産褥性血栓症か
小出 直
1
1東京大学第2内科
pp.348
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202752
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突発性呼吸困難はしばしば急性左心不全と解釈されがちであるが,肺血栓塞栓症との鑑別を要する場合がある。いわゆる産褥性心筋症の概念も,この目で見直さなければならないように思われる。
東大第2内科で非閉塞性心筋症と考えられた女性患者13例のうち,5例が妊娠9ヵ月から産後第5週の間に発症した症例であった1)。また,Hullによれば,産褥期に発症する心不全の約3分の2は特発性心筋症である2)。これらの理由で,出産前後に発症する心筋症は特異な症候群と考えられ,産褥性心筋症(peripartalまたはpostpartal cardiomyopathy)と呼ばれている。発症期間としては,妊娠9ヵ月ないし分娩後5ヵ月(Demakis,1971),分娩後1〜20週(Walsh,1965)などの基準があるが,いずれも随意的である。
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