Japanese
English
綜説
慢性肺疾患に於ける肺動脈楔入圧の異常と気管支肺循環との関係に就いて
Relationship Between Abnormally High Pulmonary Wedge Pressure and Broncho-Pulmonary Circulation in Chronic Pulmonary Diseases
中村 隆
1
,
山上 次郎
1
,
香取 瞭
1
,
本間 忠
1
,
大友 尚
1
,
鈴木 敏夫
1
,
渡辺 達三
1
,
宮沢 光瑞
1
,
渡部 哲也
1
Takashi Nakamura
1
,
Jiro Yamagami
1
,
Ryo Katori
1
,
Tadashi Honma
1
,
Sho Ohtomo
1
,
Toshio Suzuki
1
,
Tatsuzo Watanabe
1
,
Kozui Miyazawa
1
,
Tetsuya Watanabe
1
1東北大学中村内科
1Medical Clinic of Faculty of Medicine, Tohoku University
pp.232-237
発行日 1959年3月15日
Published Date 1959/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200737
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これまで,肺循環の諸問題は肺動脈,肺静脈なる単一の循環路としてのみ解釈されて来たが,近年気管支血管系と肺動,静脈とは互に複雑な交通路を有することが次第に明かにされつつあり,著者らも過去数年来解剖,生理,臨床の各方面より気管支血管系の問題を追求して来た1)。気管支血管系の研究はその解剖学的な特殊性により,これを循環生理学的に把握する事が極めて困難である。著者2)らは先に(1953)気管支拡張症患者に右心カテーテルを施行した時,健常側肺では正常であるに拘らず病巣部の肺動脈楔入圧(以下W. P.と略す)が肺動脈総幹部圧を越える異常高値を示し,しかも楔入を解除した時の肺動脈から採取した血液が動脈性を示す事から,これを気管支動脈の肺内流入による影響と考えた。その後Roosenburg and Deenstra3) (1954),Rivier Reymond et Desbaillet4)(1956)も肺疾患患者でW.P.の異常高値を観察し,気管支動脈と肺循環路との交通について論じている。著者らはその後,各種の慢性肺疾患においてしばしば斯かる例を経験し,又同時に著者等の創案せる方法5),6),21)によりこれらの症例で気管支血管系血流量を測定し,興味ある知見を得たので報告する。
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