呼と循ゼミナール
急性心筋硬塞(IV)—中心静脈圧と肺動脈楔入圧との関係について
兼本 成斌
1
1東海大学医学部内科
pp.424
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202763
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従来急性心筋硬塞(AMI)などの左心不全の血行動態すなわち強心利尿剤投与あるいは輸液療法の指標として他に方法がないままに漠然と右房への灌流圧である中心静脈圧(CVP)が測定きれてきた。一方AMIは主として左室の疾患であり,すでに1954年Sarnoffら1)は左右の心室はそれぞれ別個の機能曲線をもつことを実験的に証明した。従って右室硬塞のような特殊な場合を除いては左室機能の低下が直接右室機能に反映されると考えなければCVPの測定は意味がないことになる。
実際にはAMIにおけるCVPは文献上,60〜90%の症例で上昇している2)〜4)。そしてCVPが持続して上昇している例では心不全,shockあるいは重症不整脈などの合併率が高く予後が悪いようである。それでAMIにおけるCVRの意味するところをいささか考察してみたい。
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