Japanese
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講座
呼吸の制御
Control of Respiration
島田 久八郎
1
Kyuhachiro Shimada
1
1新潟大学歯学部生理学教室
1Department of Physiology, School of Dentistry, Niigata University
pp.121-129
発行日 1973年2月15日
Published Date 1973/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202461
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生体の調節機構の解明に自動制御理論が応用され,電子計算機によるシミュレーションが多く報告されている。呼吸の生理学の分野においてもGrodinsら14)によるものから,ごく最近のDuffin9)のモデルまである。CO2による換気量の調節機構から発展して,CO2,O2,H+を入力信号とし,中枢性の化学受容や末梢からの化学反射がモデルにくみこまれてきた。初期のモデルでは呼吸の最終の反応を換気量としこれを連続変数として取り扱ったが,その後のモデルでは呼吸の周期的換気が取り入れられてきている。しかし,モデルの周期的換気は呼吸運動の神経性の機構をsimulateするにいたっていない。一方,呼吸の生理学においては,換気量の化学的調節機構の解明と独立に神経性調機節構の研究がある。換気がPCO2,やH+の調節を行なっている以上化学的調節をシミュレーションの主体とすることは当然であるが,今後の発展には神経機構をモデルの中に加えてゆくべきであろう。そうすることにより化学的因子以外の原因による呼吸の変化の説明や,さらに呼吸の機械学との対応もよりよくなるであろう。しかし呼吸の神経機構の研究で,モデルの製作に十分なものがすべて現在用意されているわけではない。現象は実験的に認められていても,その神経機構や生理学的意義の不明のものもある。ここでは,できるだけ単純でしかも必要なものを具えている呼吸の神経機構を求めてみよう。
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