Japanese
English
綜説
冠動脈造影からみた冠不全の種々相
Angiographical Findings in Coronary Heart diseases
細田 瑳一
1
,
宮田 捷信
1
Saichi Hosoda
1
,
Katsunobu Miyata
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所内科
1Department of Internal Medicine, Heart Institute Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.105-119
発行日 1973年2月15日
Published Date 1973/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202460
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冠不全とは,冠動脈の血流量が心筋の需要に不足している状態である,臨床的に,冠不全を診断することは容易でなく,急性心筋硬塞の臨床症状と心電図変化の経過を明かに認めた場合を除くと,冠不全の診断は常に間接的であり,心電図上のST, Tの変化特に運動や低酸素負荷や狭心発作に伴う変化,硬塞心電図,狭心発作,患者の年齢や冠硬化に多い合併症,あるいは心仕事量の増加や心肥大など心筋の酸素消費量の増大,などがその根拠となる。
冠動脈造影法は,臨床的に冠動脈の形態的変化を明かにできる唯一の方法であり,1958年Sones1)の選択的冠動脈造影法の開発以来,比較的安全にいくつかの方法で広く行なわれている。冠動脈造影法で見た冠動脈内腔の変化は,そのまま冠不全の状態を明かにするものではないが,冠不全を起す基礎病変としての冠動脈の病変を知ることは,冠不全の診断の裏づけとして重要である。近年,重症冠不全に対する冠血行再建手術が行なわれるようになり2)3),その適応を考える上でも,冠動脈造影所見が不可欠となっている。そこで,冠動脈造影の所見と臨床的に認められる冠不全の関連について主としてわれわれのJudkins法による4)経験を述べ文献的考察を加える。
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