Japanese
English
綜説
ヒス束心電図による臨床心電図学の進歩
Progress of Clinical Electrocardiography by the His Bundle Electrogram
比江嶋 一昌
1
,
鈴木 文男
1
,
谷口 興一
1
,
小関 廸
1
,
佐野 豊美
1
Kazumasa Hiejima
1
,
Fumio Suzuki
1
,
Koichi Taniguchi
1
,
Susumu Koseki
1
,
Toyomi Sano
1
1東京医科歯科大学医学部内科学教室
1Department of Internal Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.551-561
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202280
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はじめに
従来不整脈の診断にあたっては,標準心電図だけからもいろいろ解析が試みられ,その機序の解明に精力がそそがれて来た。しかし,体表上誘導で得られた情報にはある程度限度があるため,それ以上は単に想像にとどまるより仕方がなかった。
一方,約20年前,尖端外径0.5μ内外のガラス電極を直接1個の心筋細胞に刺入する微小電極法が登場して以来,心臓特殊伝導系についても多くの業績があげられ,その結果,不整脈の機序も幾多の実証を以って飛躍的に解明されたといってよい。しかし,このガラス電極はきわめて折れ易いので,動きの激しい対象には用いえない。従って一般には摘出された動物の心筋片について実験がなされ,またヒトの手術などに際して得られた心筋片についての研究もあるが,動物心より得られた成績が原則的にヒトの場合にも妥当するという証明の城を出なかった。微小電極法によって得られた結果がヒトの in situの心臓電気現象に対しても妥当であることは幾多の傍証があり,疑うものは少ないであろうが,1968年1)頃から,His束を中心とする附近の特殊伝導系の電気現象を心臓カテーテル電極で以って直接細胞外誘導で得る方法が発展して来て一層の裏付けがなされた。この方法によるHis束電位の記録をHis electrogram (以下ヒス束心電図と呼ぶ)という。
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