Japanese
English
綜説
呼吸調節
Regulation of Respiration
福原 武彦
1
Takehiko Hukuhara
1
1東京大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.536-550
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202279
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はじめに
呼吸生理の研究領域はⅰ)呼吸運動の調節(呼吸中枢,神経性および体液性調節),ⅱ)呼吸運動の力学,ⅲ) O2およびCO2の運搬,ⅳ)肺および気道の機能,ⅴ)肺の換気の種々の分野を包括している。研究分野がこのように多岐にわたっている現況が示すように多数の要因が呼吸系活動の調節に関与している。しかし,これまでの知見を綜合すると神経性,体液性調節のいずれめ場合にもその調節効果は,最終的には呼吸中枢からの遠心性出力の変化が基調となって発現するものと考えられる32)41)49)59)63)100)108)131)135)143)。
呼吸調節の機序を追究していくにあたっては呼吸系総体としての活動変化を理解することが重要な基礎となる。しかし,研究の進展にともなって呼吸系の各サブシステムの活動変化,およびそれらサブシステムの間の均衡を直接の研究課題とする段階に進んでいかねばならない。この場合,呼吸系のサブシステムの活動の指標の変化の生理学的意味づけが重要な問題となる。すなわち,指標のもつ説明力について慎重な考慮を払わねばならない。たとえば換気量は呼吸系全体の総合的活動を示す指標の一つであって,系総体としての機能状態のレベルを把握するには確実な指標ではある。
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