呼と循ゼミナール
ヒス束心電図を中心とする電気生理検査の臨床的意義
高木 誠
1
1京都市立病院循環器内科
pp.54
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203304
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近年いわゆる電気生理検査が広く行われるようになった。その中心をなすものはヒス束心電図(HBE)と,心房または心室のペーシングまたは計画的に加えられる早期電気刺激である。このような検査法が急速に普及するようになったのは,1969年Scherlagらがカテーテル電極法によるHBEの記録法を発表したあたりからといえよう。
HBEを用いると従来の体表心電図では何の情報も得ることができなかったPとQRSの間にヒス束の興奮による電気活動と考えられるHのフレという新しい中間情報が提供され,それは房室内の不整脈に関する現象を理解するのに大いに役立つようになった。しかしHBEにせよ,その他のいわゆる電気生理検査法はすべてinva—siveな検査法であり,そのためたとえ短期間とはいえ入院を必要とし,それだけ患者に肉体的,精神的,経済的,時間的負担をかけるという欠点があり,しかもその割に得られる情報が必ずしも常に満足すべき決定的なもののみでないところに問題が存在する。いやしくも患者に行う検査はつねにそれによって得られる情報が患者のためになるものでなくてはならない。
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