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綜説
ヒス束心電図で明らかになった心筋生理
Information on Cardiac Electrophysiology Yielded by His Bundle Recordings
比江嶋 一昌
1
Kazumasa Hiejima
1
1東京医科歯科大学第1内科
11st Dept. of Int. Med., Tokyo Medical and Dental Univ.
pp.473-488
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202636
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1個の心筋細胞が興奮するときには,60〜120mVくらいの活動電位を示すが,体表から記録する段になると,すべての心筋細胞の活動電位をあわせても,1〜2mVくらいの電位差しか得られない。いま,インパルスの伝導について考えてみると,洞結節から心室へ至る特殊心筋細胞は,連続的に興奮しているわけであるが,心電図上では興奮密度の大きい心房と心室との電気的興奮(PとQRS)しか描かれず,そのたあQRSの始まりをもって,インパルスの心室到達を知るに過ぎない。つまり,房室伝導系と呼ばれる,房室結節,ヒス束,左右の脚,プルキンェ系における伝導は,心電図上では単なるP-R間隔としてしか反映されない。
房室伝導系のこれらの興奮電位は,従来微小電極法や細胞外誘導法により,実験的に記録され,得られた成績がヒトの不整脈の機序として,"外挿"されてきた。ところがScherlag ら1)が発表した電極カテーテル法は,in situのまま,ヒス束のみならず,右脚,左脚の電位をも記録できるものであって,以後この方法で得られた心腔内心電図は"ヒス束心電図"と呼ばれて,臨床不整脈の解析や機序の解明にひろく用いられるに至った。
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