Japanese
English
綜説
肺胞内ガス混合—いわゆるstratified inhomogenityについて
Intraalveolar Gas Mixing-So-called Stratified Inhomogenity
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.662-666
発行日 1970年8月15日
Published Date 1970/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202173
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はじめに
Galenのいわゆるlife-giving spiritであるpneu—mataを仮定した呼吸学説が,ルネッサンスにいたるまで,およそ1300年にわたって信奉されていた。その後いろいろな学説があらわれ,また元素としての酸素,炭酸ガス,窒素などが相ついで発見されるにいたった。
近代生理学の一部門として呼吸の問題がとりあげられたのは,今世紀のはじめにおけるガス交換の機序に関する,拡散と分泌両学説の対立にはじまったということができる。ここで本論文の主題である"肺胞気の組成"がHaldane, Krough, Barcroftをはじめ幾多の先覚者によってとりあげられ,それぞれの立場を主張するために実際に肺胞気を採取し,分析する努力がなされた。今日のような測定技術をもたなかった当時にあって,肺胞気および動脈血の分析が,かなり高い精度をもってなされていたことは文献によってもうかがわれるところであり,われわれは,これら先覚者の努力に敬意を払わねばならないであろう。
これよりさきCrehant (1862)は1回呼吸法で,H2を含む混合ガスを被験者に吸入させ,数回にわたって呼気中H2濃度の測定を行ない,それが均一でないことを報告している。その後KroughおよびLindhard (1917)も呼気の部分でCO2濃度が異なることを実験的に確認して,ここに肺胞気組成の不均等が存在することが明らかとなった。
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