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講座
CO2の問題(1)—肺胞低換気症候群について
The syndrome of alveolar hypoventieation.
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University.
pp.329-335
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200982
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I.はじめに
肺生理学の分野において「CO2の問題」が大いに注目されるようになつてきた。もちろん現在の肺生理学の骨組はCO2動態の上に組立てられたものであると云つても過言ではないほどであるから「何をいまさら……」と思われる読者も少なくないであろう。冒頭の一文は肺生理学におけるCO2の役割の再評価,再認識という点で注目されていると訂正した方が正しいかも知れない。
肺の機能の本質が血中にCO2を摂取し,CO2を血中より肺胞気中に排泄するガス交換作用にある以上は肺生理学においてCO2動態が重要な地位を占めることは当然であろう。CO2の血中から肺胞気中に移行しやすい性質,云いかえればalveolarequationにおいて動脈血CO2分圧は肺胞気CO2分圧に等しいと規定される事実に抑えて血液の酸・塩基平衡に占めるCO2の役割,換気調節機序においてCO2の占める役割などを考えるとき換気機能,肺胞機能,肺循環動態などを有機的に結びつけるいわば「狂言まわし」の役割をしているのがCO2であるということができよう。とくに肺性心あるいはそれと病態生理学的に類似した右心不全に進展するいわゆる肺胞低換気症候群syn—drome of alveolar hypoventilationの概念が導入されるに及んでその重要性が一そう注目されてきている。
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