Japanese
English
綜説
いわゆるcontact timeについて—肺毛細管におけるガス交換と循環動態
On the so-called "contact time":gas exchange and circulatory dynamics in pulmonary capillary beds
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1School of Medicine, Keio University, Department of Internal Medicine, Cardiopulmonary Laboratory
pp.304-314
発行日 1962年5月15日
Published Date 1962/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201089
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I.はじめに
肺毛細管を流れる血液が肺胞膜,肺毛細管壁などを介して肺胞気と接し,ガス交換を行なう時間,すなわちいわゆる接触時間contact timeはガス交換の機序を解明する上の1つの条件として重要な意義をもつばかりでなく肺循環動態を理解するためにも興味ある問題である。しかしその生理学的意義の重要性にもかかわらず,この分野での研究は十分とは云い得ず,contact timeの正常値についてすら決定的結論が得られていないというのが実状である。
肺の本質的な機能であるガス交換と密接な関連をもつこの問題は研究方法そのものに様々な制約があるとはいうものの決して放置されていたわけではなく,測定技術の進歩,理諭的解析の発展に伴なつて一歩一歩と解決の途を進みつつあるということができよう。本稿においては種々な研究方法,それぞれの研究者の得た知見を列挙して考察を加えたいと思う。ただこの問題の研究の歴史はすなわちガス交換の研究の歴史であると云つても誤まりでないほど両者は強い関連をもつて進んできたので,まずガス交換に関する理論的研究について簡単に触れておくのがよいのではないかと考える。
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