Japanese
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特集 肺気腫
肺気腫の内科的治療
Medical Treatment of Pulmonary Emphysema
村尾 誠
1
Makoto Murao
1
1北海道大学医学部第1内科学教室
11st Department of Internal Medicine, Hokkaido University, Faculty of Medicine
pp.635-638
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202170
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Ⅰ.肺気腫研究会十年の歩み
十年一昔というように,肺気腫に関する知識はこの十年間に随分豊富になった。我が国での十年間の歩みは,肺気腫研究会の出題傾向によっても知ることができよう。私の執筆担当の内科的治療についてみると,今日までの全出題数130のうち17%を占めている。研究会発足当時は,肺気腫の定義や肺機能の分析などに議論が集中して,治療の問題はほとんど提起されなかった。第9,10回(1964)に,杉山・長野(九大)がacetylcysteinを中心とする粘液溶解剤の効果について報告してから,漸く治療関係の出題が多くなり,第13,14,15,17回は,特に治療面についてのシンポジウム形式の研究会がもたれた。ステロイドホルモン,酸素,気管支拡張剤がそれらの主題であった。
しかし,今の時点で反省してみて,肺気腫の治療法が過去十年間にはたして向上したといえるであろうか?少なくとも,内科治療法の方法論に関しては,名著であったBarach, Bickerman編集の"Pulmonary Emphysema"(1956)の記載より明らかに進歩したとはいえないような気がする。
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