Japanese
English
ジュニアコース
肺不全の診断
Diagnosis of Pulmonary Insufficiency
中村 隆
1
Takashi Nakamura
1
1東北大学医学部中村内科
1The 1st Dept. of Internal Medicine, Tohoku Univ. School of Medicine
pp.1133-1138
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201718
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
肺不全(pulmonary insufficiency)はBaldwinら1)の提唱以来,「各種の肺疾患により原発性,あるいはうっ血性心不全などにより2次的に肺機能障害が惹起され,それによりて作業不全(Physical disability)が招来されている病態」と理解されている。したがって肺不全は一種の機能的な病態であり,必ずしも個有な疾患それ自体を意味するものではなく,肺機能障害から作業不全までの1つの病態のProcessである。
肺機能はいうまでもなくその最終目的はO2とCO2のガス交換ではあるが,その最も特徴的なことは気相と液相との接触であり,また生体の代謝に即応して恒常性機序を維持するために十分以上の予備有能力をもっていることである2)。肺機能のprocessは人為的に1)換気機能2)肺胞機能3)肺循環機能に分けて考えられているが,たとえば換気機能にしてもその予備能力は約10倍とされ,また肺循環機能にしても約5倍とされている。したがって高度に肺機能障害が内存しても,必ずしも動脈血ガス組成の変動が招来されるとはかぎらない。もし動脈血ガス組成の変動が招来されている場合には,これをpul—monary failureあるいはrespiratory failureとし,pulmonary insufficiencyとは概念的に分けて考えている。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.