Japanese
English
ジュニアコース
ベクトル心電図(2)
Vectorcardiography (2)
森 博愛
1
,
柴田 卓
2
Hiroyoshi Mori
1
,
Takashi Shibata
2
1九州大学医学部中央手術部・心研
2九州大学医学部第1内科
1Central Operative Division, Research Institute of Angiocardiology, Kyushu University Medical School
2The 1st Dept. of Internal Medicine, Kyushu Univcrsity Medical School
pp.1141-1149
発行日 1966年12月15日
Published Date 1966/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201719
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はじめに
ベクトル心電図(以下VGG)の成り立ちを考えるには,心臓内興奮伝播過程について理解する必要がある。心臓における最初の興奮は,中隔下部の左方から始まり,中隔全層に及ぶとともに,左右両室の心内膜下筋層に伝わり,漸次心外膜下筋層まで興奮が進行する1)。
最も最後に興奮する部は,通常,後基底部である。このような心臓内興奮伝播過程に従って,時間の経過とともに,無数のベクトル(以下’ベ’と略)を生じるが,これらは各瞬間ごとに合成され,合成瞬時’ベ’(resultant instantaneous vector)として,各瞬間における心臓起電力の平均の方向を示す。この合成瞬時’ベ’の一端が心臓の電気的中心にあると考え,’ベ’の他端の軌跡を画いたものがVCGである。したがって,VCGは心臓内興奮伝播過程の結果ととして生じた心起電力’ベ’の変化を把握しやすい形で立体的に表現したものと考えることができる。
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