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特集 糖尿病と心血管疾患:インクレチン導入後を検証する
インクレチンとは:その血糖降下作用,膵β細胞保護作用
Incretin:Blood Glucose-lowering Effects and Beta-cell Protection
田口 昭彦
1
,
谷澤 幸生
2
Akihiko Taguchi
1
,
Yukio Tanizawa
2
1山口大学医学部分子代謝制御学
2山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学
1Department of Diabetes Research, Yamaguchi University School of Medicine
2Division of Endocrinology, Metabolism, Hematological Science and Therapeutics, Yamaguchi University Graduate School of Medicine
pp.11-18
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102128
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はじめに
2009年以降,2型糖尿病に対する新たな治療薬としてインクレチン関連薬が次々と上市されている.インクレチンとはIntestine Secretion Insulinから命名された消化管ホルモンの総称である.このホルモンは食事摂取に伴い消化管から分泌され膵β細胞に作用することでインスリン分泌を促進する.現在までに報告されているインクレチンとしては,グルカゴン様ペプチド1(glucagon-like peptide-1;GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose-dependent insulinotropic polypeptide:GIP)の2種類がある.このインクレチンの作用を増強させる薬剤がインクレチン関連薬であるが,従来の糖尿病治療薬とは異なるユニークな作用を有しており臨床現場での効果が期待されている.最近になってインクレチンに大きな注目が集まるようになったのも薬剤としての開発・上市があったからに他ならないが,インクレチンに関する研究の歴史は長く,日本人研究者の貢献も大きい分野である.本稿ではインクレチン研究の歴史を紹介するとともに,インクレチンの生理的な働きについてまとめた.臨床でインクレチン関連薬を用いるうえでの基礎知識として役立てていただきたい.
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