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特集 糖尿病治療薬の2面性―糖代謝以外の作用にも目を向ける
Ⅱ非OADの血糖降下作用
スタチン・フィブラート系薬剤の血糖降下作用
Influnce of statin and fibrate on glucose tolerance
林 俊行
1
,
平野 勉
2
1東急病院 糖尿病内科
2昭和大学医学部 糖尿病・代謝・内分泌内科
キーワード:
①スタチン
,
②フィブラート
,
③耐糖能
,
④糖尿病
Keyword:
①スタチン
,
②フィブラート
,
③耐糖能
,
④糖尿病
pp.415-420
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101213
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はじめに
糖尿病は高血糖による様々な血管合併症を引き起こし,特に生命予後を不良にする冠動脈疾患(CHD)や脳血管障害(CVD)などの動脈硬化性疾患が多発する.この大血管合併症の原因には高血糖以外に脂質異常症が深く関与しており,大規模臨床研究において2型糖尿病のCHD発症に関与する危険因子はHbA1cよりLDLコレステロール(C)やHDL-Cのほうが上位であることが明らかにされている.
さらに糖尿病患者では高トリグリセリド(TG)血症,低HDL-C血症という脂質異常パターンを合併することが多く,リポ蛋白のなかでも動脈硬化惹起性の強いレムナントやsmall dense LDLが増加することも,数多くの研究から明らかとなってきた.
この糖尿病患者に合併した脂質異常に対し,スタチンおよびフィブラート薬が使用されているが,近年の大規模臨床試験のメタ解析などからスタチンが耐糖能を悪化させるとする報告もされている.
本稿では脂質異常症の代表的治療薬である,スタチンとフィブラート系薬剤が糖代謝に及ぼす影響について,大規模臨床試験の結果を踏まえて概説する.
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