Japanese
English
特集 糖尿病と心血管疾患:インクレチン導入後を検証する
インクレチンの血管保護作用
Vasoprotective Effect of Incretins
三好 亨
1
,
伊藤 浩
1
Toru Miyoshi
1
,
Hiroshi Ito
1
1岡山大学医学部循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Okayama University
pp.34-38
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102131
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
糖尿病は心血管イベントの明らかな危険因子であり,また,糖尿病患者の最も重要な死因は心筋梗塞などの心血管イベントである.そのため,糖尿病の治療では厳格な血糖コントロールを行うことで動脈硬化の発症・進展を抑制されることが求められるが,近年の大規模研究の結果からは,単純な血糖コントロールのみでは糖尿病患者の心血管イベント抑制は難しいとういことが明らかになった.そのなかで,インクレチン関連薬は従来の糖尿病治療薬とは異なる機序での血糖低下作用をもち,低血糖を起こしにくく,体重増加も生じにくいため,動脈硬化疾患の発症抑制に期待が持たれている.インクレチン関連薬は,糖代謝のみならず脂質代謝やさらに血圧へもよい影響を与える可能性が示されており,これらが複合的に抗動脈硬化作用を発揮することが考えられる.さらに,GLP-1は血管内皮細胞やマクロファージなどに直接作用し抗炎症効果を示すことが報告されている.
本稿ではインクレチン関連薬を含めインクレチンの血管保護作用について最新の知見を中心に概説する.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.