Japanese
English
特集 糖尿病と心血管疾患:インクレチン導入後を検証する
序文
Diabetes and Cardiovascular Disease:Impact of Incretin on Therapeutic Strategy
伊藤 浩
1
Hiroshi Ito
1
1岡山大学循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, Okayama University
pp.9
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102127
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心血管疾患の最大の危険因子は2型糖尿病である.2型糖尿病の治療といえば血糖コントロールに主眼が置かれているが,それで心血管疾患を減らすことができたのであろうか.多くの臨床試験が示していることは,SU剤あるいはインスリンを駆使して強力に血糖を降下させても,生命予後に関連する心血管疾患が減ることはなく,逆に低血糖に関連するイベントが増加して危険ですらあることである.では,糖尿病をどのように治療すれば心血管疾患を予防することができるのであろうか.
そのような閉塞状況のなかで登場したのがDPP-4阻害薬あるいはGLP-1アナログのインクレチン製剤である.インクレチン製剤は低血糖を来すことなく血糖値をコントロールできるため,初期の糖尿病患者から安全に用いることができる.また,膵β細胞からのインスリン初期分泌を促し,膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制することから,食後高血糖を改善することができる.さらに,膵β細胞の機能を改善する効果など従来の糖尿病治療薬にないユニークな特性が注目されている.
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