Japanese
English
特集 テネイシンCと心臓・血管病変
心臓の炎症・線維化とmatricellular蛋白
Matricellular Proteins in Cardiac Inflammation and Fibrosis
武田 憲文
1
Norifumi Takeda
1
1東京大学大学院医学系研究科循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, The University of Tokyo
pp.1077-1082
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101819
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はじめに
心臓の実質細胞は体積の大部分を占める心筋細胞であるが,間質を構成する非心筋細胞数は心筋細胞数を上回る動物種が多い.内的および外的ストレスに応じて,多くの非心筋細胞は活性化して増殖・浸潤反応を行い,またテネイシンCやペリオスチン,オステオポンチンなどの細胞外基質(extracellular matrix;ECM)の発現を増加させることは,心臓の適応応答やその破綻による過度の心臓線維化・心筋リモデリングの形成過程において重要な意味を有する1).心筋細胞や他の細胞種,ECM間における直接的な接着を介した相互作用,あるいは傷害・ストレス部分で産生・分泌される様々な液性因子を介した間接的な相互作用は,心臓への機械的・化学的・電気的なシグナルを感知し合い,心筋反応を互いに制御し,恒常性の維持や適切な組織修復を目的とした機構であろう.高血圧性心疾患や心筋梗塞慢性期においても,間質でのこうしたストレス応答は遷延化して存在し,関節リウマチや喘息などの「慢性炎症」の病態にも酷似する2).
本稿では,こうした心臓の慢性炎症や線維化の進展における,線維芽細胞とECMの役割に関する最近の知見を紹介したい.
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