Japanese
English
論述
炎症の生化学—蛋白分解酵素の活性化とその意義
Biochemical Approach in Inflammation: Activation of Proteolytic Enzyme and its Significance
林 秀男
1
Hideo HAYASHI
1
1三重県立大学医学部病理学教室
1Departrnent of Pathology, Prefectural University of Mie, School of Medicine
pp.124-132
発行日 1955年12月15日
Published Date 1955/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905861
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Ⅰ.いとぐち
炎症は刺戟(起炎物質)に対する動物組織の最も普遍的な局所反応で,主として形態学,最近では生理学・生化学の立場からもいろいろ研究されている。しかしその複雑さのためにその概念も機序もまだはつきりしない。いろいろの起炎物質—いわゆるanaphylactoid agents,抗原抗体反応も含め—が組織にはたらくと,組織細胞の変性・血管拡張(充血)・毛細脈管の透過性亢進(水,晶質,コロイドの滲出,浮腫)・リンパ管閉塞(代謝産物の蓄積,浮腫)・游離細胞の游出,浸潤,増殖(肉芽組織)という一連の変化がいつもきまつて現われる(緒方氏1),Aschoff2)によれば一定のつよさ以上におこる必要がある)。
これらの変化は刺戟のつよさ,その作用時間,起炎物質の化学性状のちがい,局所の解剖学的なちがいなどによつて若干ちがつてくる。しかし上述の変化は一つの基本様式としてすべての"炎症"に共通しておこる変化である。
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