今月の主題 炎症マーカーとその臨床的意義
病態解説
急性期蛋白と炎症
右田 俊介
1
Shunsuke MIGITA
1
1金沢大学がん研究所分子免疫部
pp.160-166
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913576
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炎症から急性期蛋白までの筋道はしだいに解明されて,異物を貪食したマクロフアージから放出される3種のサイトカイン,インターロイキン1,6,TNFαが血行性に肝に到達して,細胞内伝達機構を介して,肝細胞の遺伝子で急性期蛋白に共通性のあるenhancerに働いて,mRNAへの転写に影響し,これによって急性期蛋白の生合成が制御される.制御には正の制御と負の制御があって,現在ではヒトの急性期蛋白は,アルブミンを含めて20種を超える.3種の因子と20種の遺伝子の組み合わせではさまざまなパターンが予想されるが,3種の因子を含めたサイトカインのネットワークにより,比較的一定に急性期蛋白は変動すると,現在では捉えられている.しかし今後解析を進めれば,急性期蛋白像から,生体に加わった刺激の種類,生体の反応像を逆に解明することが可能になるかもしれない.3種のサイトカインによる分子病理の現況についてここでは述べた.
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