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あとがき
和泉 徹
pp.444
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101026
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心(こころ)にはたくさんの意味がある.広辞苑によれば,①人間の精神作用のもとになるもの,②人間の精神作用そのもの,③知識・感情・意思の総体,④思惑,⑤気持ち,⑥思いやりや情け,などを表す.他に,趣や趣向,意味,物の中心なども意味する.
心臓病になるとこの心も病んでいく.私達の調査では22%の循環器疾患患者が心の病を訴える.多くはうつ状態にある.心臓病は心臓の存在を持ち主に伝える.持ち主は心臓の存在に気付く.若かりし頃には全く覚えのない感触である.しかも,胸痛や呼吸困難,動悸,失神など傷ついたとの心臓の叫び,自己主張である.新たな感触と新たな叫びは間違いなくそこはかとない不安を呼び起こす.しかも,“心臓由来だ”と気がついた途端,それは死への不安へと転化し,一気に加速する.さらに心無い医療従事者の一言が追い討ちをかける.“このままではあなたの余命は5年以内です”.
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