Japanese
English
特集 肺気腫―最新の研究成果と今後の方向性
気腫化変化とレドックス
COPD and Redox Regulation
星野 友昭
1
,
北里 裕彦
1
,
加藤 誠也
2
,
相澤 久道
1
Tomoaki Hoshino
1
,
Yasuhiko Kitasato
1
,
Hisamichi Aizawa
2
,
Seiya Kato
1
1久留米大学医学部第1内科
2久留米大学医学部病理
1First Department of Internal Medicine, Kurume University School of Medicine
2Department of Pathology, Kurume University School of Medicine
pp.467-473
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100654
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はじめに
酸化ストレスに対する応答反応や防御機構として生体内には様々な酸化・還元機構が存在している.レドックス(redox:reduction/oxidation)とは生体内での酸化還元反応の制御機構である.最新の研究でレドックス反応は単なる酸化ストレス,ROS(reactive oxygen species)の中和だけでなく,細胞内のシグナル伝達の重要な役割を持つことが判明した.COPD(chronic obstructive pulmonary disease,慢性閉塞性肺疾患)は,肺気腫,慢性気管支炎,あるいは両者の併存により進行性の閉塞性換気障害を特徴とする疾患である.COPDにおける気流制限は,末梢気道病変における気道抵抗上昇と肺気腫による肺弾性収縮力低下により,二者の関与の程度は症例によって様々であるが,本邦のCOPD患者の多くは肺気腫優位の傾向を示す.肺気腫の最大のリスクファクターが喫煙であることは多くの疫学的研究より明らかである.タバコ煙は多量のオキシダント(ROS)の産生源であり,それは酸化ストレス,持続的な炎症反応を惹起し,肺構築の改変に至ると考えられている.
本稿では,最近のレドックス制御機構の知見を踏まえて,COPD,特に肺気腫の病態形成に果たす役割について言及したい.
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