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肺線維症(間質性肺炎)の動物モデル
ヒトを含む動物に肺線維症を誘導する物質としてブレオマイシンなどの抗癌剤,イオン化放射性物質,パラコート,phorbol myristate acetate (PMA),アスベストなどが報告されている.現在広く使われている肺線維症(間質性肺炎)の動物モデルはブレオマイシンやシリカ投与モデルがある.これらのモデルの解析によって肺線維症の発症がある程度解析され,表1に示すような典型的な肺線維症の発症の経過をとることが判明した.肺線維症モデルにおけるinitial injuryは,ブレオマイシンの誘導する活性酸素による膜脂質破壊やシリカと肺胞上皮細胞との直接作用と考えられている.初期の炎症では,損傷部位への白血球の細胞浸潤が起こる.病変はfocal distributionをとる(そういう意味でもヒト肺線維症[usual inter-stitial pneumonia,UIP]に近い).血管内皮細胞との付着反応などにより活性化された肺胞マクロファージの産生するmediatorによって,白血球の遊走や活性酸素による肺組織傷害が促進される.これによって凝血系活性が上昇,一方線溶系活性は低下する.修復期(線維化期)ではその修復過程として,線維芽細胞の増生,膠原線維合成が促進される.その結果として肺胞構造が破壊される.このように,肺線維症における肺構造の破壊にはいくつかのステップがあり,そこには様々な細胞,mediatorが関与する.
ここでは動物実験で解析されたサイトカイン,ケモカイン,Fas/FasLと肺線維症における肺構造の破壊の役割について述べる.最後に,われわれが最近樹立した新規間質性肺炎マウスモデルで判明したNK細胞と間質性肺炎発症との関与について述べる.
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