Japanese
English
特集 肺癌—診断と治療の最前線
生物学的特性からみた肺癌の治療
Treatment of Lung Cancer Based on Tumor Biology
原 信之
1
,
中西 洋一
1
,
高山 浩一
1
Nobuyuki Hara
1
,
Yoichi Nakanishi
1
,
Koichi Takayama
1
1九州大学医学部胸部疾患研究施設内科部門
1Department of Internal Medicine, Research Institute for Diseases of the Chest. Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.345-350
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901876
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はじめに
肺癌に対して行われている主な治療は外科療法,放射線療法,化学療法であるが,それぞれの治療選択の原則は現在ほぼ確立されている.すなわち,非小細胞癌では,遠隔転移がなく根治切除が可能と考えられる症例(I〜III期)には手術を第一に選択し,切除ができない症例には,限局性のものには放射線と化学療法の併用がなされ,遠隔転移のある症例には化学療法が行われる.一方,小細胞癌では,発見時にすでに遠隔転移を起こしている症例がほとんどであり,また抗癌剤に感受性が高いこともあり化学療法が第一に選択され,外科療法や照射などの局所療法は,局所をコントロールするために併用される.このような原則をもとに大まかな治療選択が立てられるのであるが1〜6),さらに,これらの原則に加え,個々の癌のもつ生物学的特徴を考慮して詳細な治療戦略が立てられる.
肺癌の生物学的特徴は,古くは病理組織学的な面から検討されてきたが,最近は,分子生物学の進歩により,細胞レベル,分子・遺伝子レベルから,癌の治療効果,悪性度,予後への影響なども明らかになりつつあり7),これらを加味したきめ細かい治療戦略も立てられるようになってきている.
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