特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔腸〕
colitic cancer
岩男 泰
1
,
松岡 克善
2
1慶應義塾大学病院予防医療センター
2慶應義塾大学医学部消化器内科
キーワード:
colitis-associated colorectal cancer
,
サーベイランス大腸内視鏡
,
step(random)biopsy
,
target biopsy
Keyword:
colitis-associated colorectal cancer
,
サーベイランス大腸内視鏡
,
step(random)biopsy
,
target biopsy
pp.768
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113348
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炎症性腸疾患,特に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)の長期経過例に癌・dysplasiaの発生頻度が高く,累積発癌率が10年で1.6%,20年で8.3%,30年で18.4%とメタアナリシスで報告されている1).これら炎症性腸疾患に合併する癌をcolitic cancerという.用語としてはcolitis-associated colorectal cancer(UCの場合はUC-associated colorectal cancerもしくはcolorectal cancer associated with UCなど)が適切と思われるが,慢性炎症に伴う発癌というニュアンスがよく伝わるため,特に本邦ではcolitic cancerの呼称が好んで用いられている.欧米においても論文タイトルには使用されることがある.
通常のadenoma-carcinoma sequenceと呼ばれる腺腫を介した発癌過程に対し,炎症によって遺伝子の変異・異常が蓄積し,dysplasiaと呼ばれる粘膜内腫瘍を介して大腸癌に至るinflammation-dysplasia-carcinoma sequenceという考え方が提唱されている2).若年発症し多発する傾向がある.
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