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平田(司会) 近年,本邦でも欧米のごとく,IBD(inflammatory bowel disease)長期経過例が増加しています.したがって,IBDにおける癌合併といった問題点が,クローズアップされています.従来より,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)では癌合併の対策としてサーベイランスが行われています.欧米のガイドラインでは,サーベイランスの際に大腸内視鏡下に数十個のrandom biopsyを推奨していますが,その効率性に問題がないとは言えません.本邦でも1988年に,当時の欧米のガイドラインに準じ,大腸を10cmおきにstep biopsyするサーベイランスの方法が推奨されました.しかし,2006年に厚生労働省の班会議のプロジェクトとして,target biopsyによるサーベイランスの試みがなされ,癌の発見率は3.8%で,欧米のrandom biopsyの発見率に比べて遜色がないというpreliminaryなデータが発表されています.こうした現実を踏まえ,今後,colitic cancer/dysplasiaの早期発見,早期治療には,どのような方法が最も効率的であるかについて討論したいと思います.その中で腫瘍性粘膜と炎症性粘膜との鑑別をどのように行っていくのか,sporadicな腫瘍と炎症を母地とする腫瘍との鑑別はどうすべきかといった点において,本邦で発展した色素内視鏡,拡大内視鏡がどのような有用性を示すのか議論されるところであります.それからp53免疫染色を含め,分子病理学的な検討はどのように評価されていくのか,あるいは内視鏡下の生検以外の新たなマーカーによるハイリスク群の絞り込みは可能なのか,といった点についても討論いただきたいと思います.まず,欧米におけるcolitic cancer/dysplasiaサーベイランスの現状と問題点について,先生方のご意見をお聞きします.サーベイランスの開始時期や検査間隔,あるいはハイリスク群とそうでない群を区別すべきかなどについてご意見をお願いします.
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