今月の主題 胃微細病変の診断
展望
胆石
秋田 八年
1
,
香月 武人
1
1鹿児島大学医学部第二外科
pp.509-516
発行日 1967年4月25日
Published Date 1967/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110509
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Ⅰ.胆石成因論の展望
西暦2世紀,Galenusは体温の上昇で胆汁および粘液の粘稠度が増加すると胆石が発生すると述べている.胆石生成論の嚆矢であろう.近代胆石生成論は,1892年Naunynの炎症性胆石生成説,1909年Aschoff&Bacmeisterの非炎症性胆石生成説の対立によって開花したといっても過言ではなかろう.以来70有余年,胆石生成論は今日なお完全には解明されてない.
胆石の構成素材が胆汁成分そのものであることは周知の事実である.胆石の主要成分は永に不溶な遊離型cholesterol,遊離型bilirubinであるが,これらがいかにして胆汁中に安定に溶存しているか,またなぜに胆汁から析出してくるかという点に胆石成因論の第1の命題が存在する(胆石の生成論Kausale Genese).一方,1879年Frerichsがすでに指摘しているごとく,胆汁成分の単純な沈澱物と胆石とは本質的に異なり,胆石が発生するには胆汁成分の沈析以外に,析出した胆汁成分を胆石にまで再組織する機構が必要となくってくる.この点に胆石成因論の第2の命題が存在する(胆石の形成論Formale Genese).
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