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特集 胆道外科のPitfall
胆石症再手術からみた落し穴
Pitfall in biliary tract surgery with special reference to the reoperated cases
香月 武人
1
Taketo KATSUKI
1
1鹿児島大学医学部第2外科
pp.1107-1117
発行日 1972年8月20日
Published Date 1972/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205659
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はじめに
後天性良性胆道疾患の手術治療はすでに確立されたものと喧伝される傾向にあるが,手術直接死亡率はなお1〜3%,遠隔成績不良例も10〜15%に見られ(秋田ら,1971),臨床医学の理想域には未だしの感が深い.本邦でも胆石症は甚だ一般的な疾患で,その手術治療は広く実地臨床医家において行なわれている現状であるが,胆石症再手術の頻度は欧米の5%前後の約2倍10%前後と報告されている.本邦において胆管内ビリルビン系石,ことに肝内胆石が多い事実が再手術高頻度の主たる理由ではあろうが,解剖学,生理学的に甚だ複雑・微妙な胆道系の十分な認識に立脚する熟達した手術適応,手術手技によらない,安易な胆道手術が高い再手術頻度に反映している可能性も否定できない.制度的には,大部分の手術治療が行なわれる実地臨床医家における貴重な経験と反省が集大成されて,すべての臨床外科医の研鑚の資料となり得ない現医療体制の欠陥にも起因しよう.以下教室の経験を中心に検討を加え,再手術症例からみた胆道手術のpitfallの2,3を呈示する.
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