胃と腸ノート
CTによる膵癌の早期診断
森山 紀之
1
,
山田 達哉
1
1国立がんセンター放射線診断部
pp.1184
発行日 1981年11月25日
Published Date 1981/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108270
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CTは,最初,頭部の診断用として開発されたものであり,第一世代,第二世代のCTでは,撮影に20秒~4分間を必要とした.このために,腹部領城の検査では,呼吸による体動や腸管の動きによるアーティファクトの発生が多く,十分な診断を行えないことが多かった.第三世代,第四世代のCTの登場によって,撮影時間は2~10秒に短縮された,この結果,アーティファクトの発生は著しく減少し,血管造影,ERCP,超音波などと共に,CTは膵疾患の有力な画像診断法として注日されるようになった.しかしながら,CTでより小さな膵癌を発見するためには,ただ慢然と検査を行うのではなく,いろいろな工夫が必要である.
まず第一に腸管,特に十二指腸,空腸を腫瘍像と間違えないことが大切である.このためには,3~5%のガストログラフィンを投与することが必要である.この場合,重要なことはガストロゲラフィン投与後に右側臥位,左側臥位と数回体位変換を行い,十分に造影剤を腸管内に流入させることである.この操作によって,腸管を腫瘍像と誤る心配がなくなるわけである.
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