今月の主題 肝・胆・膵疾患の画像診断
疾患別による画像診断アプローチ
膵癌早期診断へのチャレンジ
井戸 邦雄
1
,
平松 京一
1
1慶応義塾大学医学部・放射線診断部
pp.1278-1283
発行日 1987年7月10日
Published Date 1987/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221023
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膵疾患の画像診断は,X線CT,超音波断層などの非侵襲性検査の発達に伴い,膵の形態を容易に把握することが可能となった.血管造影は,超選択的動脈造影の技術の向上,種々の薬理学的動脈造影の出現に伴い,膵固有動脈の描出が容易になり,かなり小さな動脈,静脈の変化を把握できるようになった.しかし,これら画像診断の発達した今日でも,早期膵癌の診断には多くの問題点が残されている.
膵癌は腹部臓器癌のうちでも最も早期発見の困難な癌であり,その切除率も一般に膵頭部癌で30%,膵体尾部癌で15%位と低いものである.また,切除されても予後は必ずしもよいものとはいえない.これらの問題点は,早期膵癌の診断の難しさによるものである,本稿では,早期膵癌診断の可能性を各画像診断から解説していく.
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