一冊の本
「Primer of Gastrointestlnal Fiberoptic Endoscopy」
岡部 治弥
1
,
西元寺 克礼
1
1北里大学医学部内科
pp.1176
発行日 1981年11月25日
Published Date 1981/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108268
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近年,内視鏡の発達は著しく,全消化管はもとより胆道,膵管の観察も可能となり,また治療の分野でもその適応が拡大されつつある.本邦には,内視鏡を志すものにとって有用な優れた専門書が多数出版されているが,今回在米の須川博士と他のお一人の共著による「Primerof Gastrointestinal Fiberoptic Endoscopy」を通読する機会を得た.須川博士は,林田門下として城所現順大教授のもとで胃カメラの研究に努められていた方であるが,現在米国にあって内視鏡の領域で活躍されている.
この本は,内視鏡の歴史より始まり,器械の説明,上部消化管内視鏡検査,上部消化管出血,ERCY,大腸鏡,治療内視鏡,小児内視鏡,その他の内視鏡手技の項目より成る.本再の特徴としては,検査の前処置,挿入法などが懇切丁寧に書かれていることであり,内視鏡検査の適応,合併についても詳しく記載されている.また,起こりうる合併症について患者に説明すべきことが繰り返し述べてあり,彼我の医療事情が異なっているとはいえ反省させられる.所見の読みについては比較的簡単に書かれているが,従来の欧米の成書に比べ,日本の早期胃癌肉眼分類,山田の隆起性病変の分類などが取り入れられ,我々には親しみやすい,なおERCP,下部消化管にかなりのページが割かれており,米国での内視鏡の潮流がわかり興味深い.
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