増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
糖質および関連物質
ヒアルロン酸
川上 正舒
1
1自治医科大学大宮医療センター総合医学I
pp.164-165
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909792
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検査の目的・意義
ヒアルロン酸(hyaluronic acid)はD-グルクロン酸とN-アセチル-D-グルコサミンが繰り返し結合したムコ多糖で,眼硝子体,臍帯,関節,皮膚,軟骨のなどの結合組織に多い.生理的機能として細胞外基質の構造,水平衡の維持,血漿蛋白の組織漏出の制御,関節の潤滑性維持,細胞分裂時の補助などが挙げられる.
最近,細胞表面のCD 44と結合することが明らかになり,リンパ球のリンパ節への集積やリンパ球・好中球の活性化など,細胞の機能制御への関与が注目されている.また,腫瘍細胞ではCD 44と異なる結合蛋白を有するものがあり,これに結合することにより癌の組織侵襲性が増加するとされている.細胞表面を被覆してウイルスや細胞傷害性リンパ球から保護する作用もあるとされる1).
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