内科エマージェンシー 私の経験
急性胆嚢炎に経乳頭的胆嚢ドレナージを施行し救命し得た腹水貯留非代償性肝硬変の1例
本田 聡
1
,
景岡 正信
1
,
岩崎 央彦
1
,
樋口 良太
1
,
杉本 健
1
,
窪田 裕幸
1
,
渡辺 文利
1
1藤枝市立総合病院消化器科
pp.417
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907191
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症例は56歳女性で,腹水貯留を伴う非代償性C型肝硬変と胆嚢結石のため当科外来通院中であった.これまで胆嚢結石はいわゆる無症状胆石(silent gallstone)として経過したが,今回急性胆嚢炎を発症し入院した.右季肋部の自発痛,圧痛は顕著でなかったが,38.6℃の発熱を認め,炎症所見および画像所見から急性胆嚢炎と診断した.
入院時検査成績ではCRP 6.8mg/dlと上昇認め,総ビリルビン3.5mg/dlと軽度の黄疸も呈していた.腹部エコーでは胆嚢頸部に結石影およびその周辺にdebris貯留を認め,胆嚢の腫脹,壁肥厚もみられた.CTでは胆嚢頸部に石灰化した結石の嵌頓を認め,胆嚢の腫脹,壁肥厚が著明であった.また,エコー,CT上,肝両葉は高度に萎縮し,辺縁は凹凸不整で,肝S7には肝細胞癌の合併を認め,さらに肝表面を含む腹腔内全体に腹水貯留がみられた.急性胆嚢炎に対し,絶食,輸液療法,抗菌剤投与施行し,48時間経過をみたが,CRP 7.6mg/dlへ上昇傾向を示し,胆嚢壁肥厚の増悪,壁内のsonlucent layerの顕在化を認め,ドレナージ術が必要と考えられた.
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