iatrosの壺
サラゾスルファピリジン坐薬による脱感作
小畑 伸一郎
1
1おばた胃腸科内科クリニック
pp.418
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905687
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サラゾスルファピリジン(SSA)は潰瘍性大腸炎の治療薬として使用されるが,時に重篤な副作用を生じる.
症例は37歳男性,左半結腸型潰瘍性大腸炎とSSA3gの投与後3日より皮疹,38℃の発熱のため当院紹介となる.眼球の充血,全身に紅斑性丘疹と両腋窩鼠径部のリンパ節を触知した.直腸よりS状結腸にかけてびらんを認め,組織学的に活動期の潰瘍性大腸炎に一致した所見であった.水溶性プレドニゾロン®(PDN)30mg投与により改善.PDN漸減中止したところ再び粘血便の出現をみ,SSA0.5g,1Tの投与2時間後,掻痒感の出現と皮疹の増悪を認めた.SSAによるStevens-Johnson症候群と診断し,PDN40mg投与を開始,粘血便,皮疹の改善を認めた.PDN投与後7日目よりSSA坐薬0.25g投与を開始した.皮疹などの副作用は認められず,21日目より0.5g,35日目より1.0gと増量した.その間PDNを漸減した.42日目より経口にてSSAを併用し,49日目には1.0g,4カ月目には2.0gの投与が可能となった.現在PDNは中止しているが臨床的にも組織学的にも緩解を保っている.
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